地震に備えて自宅を見直すチャンス
日本は地震が多発する国です。南海トラフ巨大地震のリスクが指摘される中、2024年には能登半島地震が発生し、私たちは改めて地震への備えの重要性を実感しました。さらに、東日本大震災の教訓を思い出すと、大規模な地震が家族や住まいに及ぼす影響は計り知れません。こうした中で、自宅がどれだけ安全かを確認することは、地震から家族の命を守る第一歩です。
本記事では、震災が耐震基準に与えた影響や、自宅の耐震性をチェックする方法、そして最新の耐震技術を活用したリフォーム方法をご紹介します。これを機に、自宅の耐震性を見直し、安心できる住まいづくりを始めましょう。
1. 日本の震災と耐震基準の変遷
日本では震災が起きるたびに耐震基準が見直されてきました。
主な変更点や出来事はを表にまとめています。
年 | 震災の名称 | 基準の変更点や出来事 |
1923年 |
関東大震災 |
初の本格的な震災対策が講じられる。震災後、「市街地建築物法」が改正され、建物の構造に耐震性を求める条項が追加。 木造建築や煉瓦造の崩壊が多かったため、耐震壁や補強材の重要性が認識される。 |
1968年 | 十勝沖地震 | 鉄筋コンクリート構造の重要性が強調される。 建築基準法に「震度5強程度の地震に耐える設計」の義務化が進む。 |
1978年 | 宮城県沖地震 | 建築基準法が再検討され、耐震基準改正の必要性が浮き彫りになる。 |
1981年 | 新耐震基準の導入 | 宮城県沖地震を受けて建築基準法が大幅改正される。 「新耐震基準」が施行され、「部分的損傷は許容するが倒壊を防ぐ」設計が主流に。 |
1995年 | 阪神・淡路大震災 | 多くの旧耐震基準の建物が倒壊し、耐震改修の重要性が認識される。「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(耐震改修促進法)が制定され、新築だけでなく既存建物の耐震性向上が政策として本格化。 |
2011年 | 東日本大震災 | 津波や液状化現象による被害が注目され、耐震だけでなく「耐津波設計」の重要性が認識される。災害リスク評価や地域防災計画との連携が進む。 |
1981年に施行された新耐震基準は、日本の耐震設計における大きな進化でした。これにより、震度6~7程度の地震でも建物が倒壊せず、人命が守られることを目指した設計が標準化されました。しかし、それ以前に建てられた住宅の多くは旧耐震基準に基づいており、大地震の際には倒壊のリスクが高いとされています。
さらに、1995年の阪神淡路大震災では多くの旧耐震基準の建物が倒壊し、甚大な被害が発生しました。この教訓を受けて、「耐震改修促進法」が制定され、古い建物の耐震性を向上させる取り組みが推進されています。現在でも全国で耐震改修が進められているものの、未だに多くの住宅が耐震性に課題を抱えているのが現状です。
2.自宅の耐震性をチェックする方法
「自分の家は大丈夫だろうか?」と感じた方は、まずは簡単なセルフチェックから始めてみましょう。以下のポイントを確認することで、初歩的な耐震性の評価が可能です。セルフチェックで不安があれば、専門家に診断を依頼し、必要に応じて耐震補強を検討しましょう。
2-1. 築年数を確認する
建築年を調べ、新耐震基準が施行された1981年以降か、それ以前かを確認しましょう。特に1971年以前の建物は、耐震性が低い可能性が高いです。
2-2. 外壁や基礎の状態をチェック
外壁にひび割れや浮きがないか、基礎部分がしっかりしているかを確認してください。大きなひび割れや崩れがある場合、耐震性が損なわれている可能性があります。
2-3. 屋根の重さを確認する
瓦屋根など、重い屋根材を使用している場合は注意が必要です。地震の揺れで建物が倒壊するリスクが高まるため、軽量化を検討するのが効果的です。
2-4. 柱や梁の強度を確認する
室内の柱や梁がしっかりしているか、傷んでいないかを目視で確認してください。特に、古い木造住宅では、柱や梁の劣化が耐震性に大きく影響します。
2-5. 家具や家電の固定状況を確認する
家具や家電がしっかり固定されているか確認しましょう。転倒防止用の金具や耐震マットを使うことで、地震時のケガを防ぐことができます。
2-6. 壁の配置とバランスを確認する
壁が建物全体でバランスよく配置されているかを確認してください。壁が少ない間取りや、大きな開口部(窓やドア)が多い場合、地震の揺れに弱いことがあります。
2-7. 床や階段の傾きを確認する
家の床や階段が傾いていないかを調べましょう。目に見えない基礎部分の劣化が進んでいる可能性もあります。
これらのポイントを確認することで、初歩的な耐震性の評価が可能です。
自治体による無料診断サービスも利用できる場合があるので、地域の情報も確認してみましょう。
3.耐震リフォームで安心を手に入れる
セルフチェックや専門家による診断で耐震性に不安が見つかった場合、次に考えるべきは耐震リフォームです。
築年数が1981年以前の住宅や、外壁や基礎のひび割れ、屋根の重さなどで懸念がある場合、早急な対策が必要です。本章では、耐震性を向上させるリフォームに用いられる主な技術について解説します。リフォームを検討する際に、自宅にどの技術が適しているかをイメージする助けになるはずです。
3-1. 免震構造
免震構造は、地盤と建物の間に免震装置を設置し、地震の揺れを建物に伝えない仕組みです。装置はゴムや金属製で、揺れを水平方向に逃がして家具や建物の損傷を防ぎます。以前は主に大型施設で普及していましたが、近年では住宅向けの装置も開発され、一般家庭にも取り入れられつつあります。初期費用はやや高めですが、地震後の修復コストを抑えられるため、長期的な費用対効果が期待できます。
3-2. 制震構造
制震構造は、建物に制震ダンパーを設置し、揺れのエネルギーを吸収して建物のダメージを軽減する技術です。ダンパーは金属や粘性体で作られ、揺れを熱エネルギーに変えて分散させます。比較的コストが抑えられ、既存住宅にも簡単に導入可能です。木造住宅やマンションでも採用が進み、短期間で施工できる点も魅力です。地震だけでなく強風などにも効果があり、安心感を高める手法として注目されています。
3-3. 耐震補強工法
耐震補強工法は、既存の住宅を強化する方法で、耐震壁の設置、基礎補強、金物補強が一般的です。耐震壁は建物の歪みを防ぎ、基礎補強は揺れを地盤に分散させる効果があります。金物補強は柱や梁を金属部材で補強し、建物全体の強度を高めます。施工が比較的簡単で、特に1981年以前の旧耐震基準の住宅に有効です。部分的な補強から全体強化まで対応でき、住宅状況に合わせた柔軟な対策が可能です。
まとめメッセージ
地震への備えは、まず自宅の耐震性を確認することから始まります。
築年数や建物の状態をチェックし、特に1981年以前の建物の場合は耐震基準を満たしていない可能性があるため注意が必要です。不安があれば、自治体や専門家の耐震診断を活用して、具体的な状況を把握してください。その結果に基づき、必要に応じて免震や制震、耐震補強工法など最新の技術を取り入れたリフォームを検討しましょう。
これらの対策は、大きな地震の際に家族や財産を守るための重要な手段です。地震はいつ起こるか分かりません。大切な人たちを守るために、できることから今すぐ始めましょう!
いかがでしたでしょうか?
山匠では、耐震診断(簡易診断・精密検査)やリフォームについての無料相談を実施しております。
建物やオーナー様の生活の状況に合わせた耐震工事のご提案をさせていただいておりますので、まずはお気軽にご相談ください。